『旅立ちの時』リバー・フェニックスが演じる感動の青春映画

名匠シドニー・ルメットとリバー・フェニックスが贈る青春映画の決定版!(1988年)

23歳で早逝してしまったリバー・フェニックス。

リバー・フェニックスの名が世界に知れ渡って一躍スターになったのは、『スタンド・バイ・ミー』ですよね。

スタンド・バイ・ミー

その『スタンド・バイ・ミー(1986年)』の2年後に公開されたのが『旅立ちの時(1988年)』なんです。

世界中で愛されている大ヒット作の『スタンド・バイ・ミー』ですが、僕はこの『旅立ちの時』も同じように、いやそれ以上に本当に素晴らしい映画だと思います。

18歳の時に『旅立ちの時』を観て深く感動し、そして30年近く経ってからまた改めて観たんです。

ほとんどの場面を鮮明に覚えている事に自分でも驚きました。

それほど18歳という若く瑞々しい感性にこの映画が深く染み込んでいたということなんでしょう。

素晴らしい青春映画、感動する家族の物語、などに興味がある方ならこの『旅立ちの時』は絶対におススメですよ!

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「旅立ちの時」のあらすじと感想

ではまず「旅立ちの時」の簡単なあらすじからどうぞ。

60年代に反戦運動をしていたダニー(リバー・フェニックス)の両親。

ベトナム戦争当時、ナパーム工場を爆破し、テロリストとしてFBIに指名手配されて以降は、各地を転々とする逃亡生活を送っていた。

名前を変え、髪の色を変えて、完全に別人になりすまし、また新しい場所で新しい生活を始める。

そんな彼らがニュージャージーにやって来た時、ダニーの生活に大きな変化が訪れる。

音楽教師にピアノの才能を認められ、ジュリアートへ進学することを強く勧められる。

そしてその音楽教師の娘。ローナと激しい恋に落ちる。

ここからは僕が「旅立ちの時」を観て感じた事などを中心に書いていきます。

ネタバレも含みますので、これから観ようと思っている人は注意してくださいね。

ダニーとローナの葛藤

困難な環境の中で葛藤しながらも成長していくティーンネイジャーをリバー・フェニックスが見事に演じています。

父親からとにかく目立たないようにする事を小さい時から教え込まれているダニー。

またすぐに引っ越ししてしまう事が分かっているから、興味を惹かれた女の子にも自分の事を曝け出そうとはせず、深入りを避けるようにしてしまう。

父親からの教えを忠実に守り、ずっとそのように暮らしてきたダニー。

でも新たな土地、ニュージャージーでローナと出会った事から、運命が大きく変化していくことなったのです。

ダニーとローナが通う学校の音楽教師が、ローナの父親。

この音楽の先生は、ダニーのピアノの才能に惚れ込み、色々と世話を焼いてくれるようになるんですね。

ローナは、そんなお堅い父親の事をどうしても好きになれない。

着飾って自宅で室内音楽会を開催するような、そんなブルジョア気質の父親の事を軽蔑している一面もあるんですね。

そんなローナの目に、どこかミステリアスな雰囲気のダニーはとても新鮮に映るのです。

どんどん惹かれあっていく二人。

そしてダニーは家族だけで過ごす予定だった母親の誕生会にローナを招待することにしました。

ローナは自分の家族とは正反対の、気取らず明るく、そして質素な暮らしを大切にする雰囲気にすっかり魅了されてしまうのです。

誕生会の帰り道、「あなたの家族、大好きよ」と伝えます。

お互いへの思いが溢れ出し、もう止まらなくなった二人は激しく抱き合い、そして情熱的なキスを交わし合います。

そのまま抱かれる事を期待したローナですが、ダニーはこれ以上深入りしてしまう事を躊躇して、途中で止めてしまう。

怒って帰ってしまったローナは、それからしばらく学校でも全く口を聞いてくれなくなるわけです。

そんな状態に耐えられなくなったダニーは、今まで誰にも言った事がなかった家族と自分の秘密をローナに全て打ち明けます。

涙を流しながら初めて自分の事を他人に全て曝け出すダニー。

こんなにもお互いの事を好きなのに、結ばれることのない二人の関係に悲観にくれながらも、全て話してくれたダニーに今まで以上に深い愛情を抱くローナ。

そして二人は情熱的に抱き合います。

そしてローナは、

「両親の犠牲で逃げ続けるの?」

「自分を大事にしたら?」

と、本質的な問いをダニーに突きつけるのです。

でもダニーは、こんなにもローナの事を好きだけど、どうしても家族と別れることを選択することなどできない。

ダニーは深く葛藤するわけです。

ローナの父はダニーを名門の音楽大学ジュリアートへ進学するように勧めます。

ダニーはジュリアートに興味を持つようになるわけですが、ジュリアートへ行く事は家族とはもう会えなくなる事を意味するので、迷いに迷います。

両親の葛藤

ある時、家族に内緒でジュリアートの実技試験を受けた事をダニーの母親が知る事になります。

その出来事をきっかけにして、ダニーの両親もそれぞれに深く葛藤することになるわけです。

母親は、ダニーと一生会えなくなるとしても、もう大人だし、ダニーに好きな人生を歩ませてあげたいと思うようなる。

「私たち子供にひどい仕打ちをしてるわ。生涯犯罪者のように逃げ回るだけよ。気の毒だわ。」と。

そのように父親に伝えるが、父親は家族が離れ離れになってしまうこと、ダニーと会えなくなる事をどうしても受け入れることができないのです。

自分たちの信念を貫き通して、「正義」の為に今まで生きてきたが、その「正義」が子供達を想像以上に「不自由」にしているのではないか。

心の奥底の見えない部分を深く「傷つけて」いるのではないか。

もしそうだとしたら、そんな「正義」に何の意味があるのか。

それはただの自己満足なんじゃないか。

両親もそのように深く葛藤するわけです。

そんな中、ある事件が発生し、平和に暮らしていたニュージャージーをまた引っ越さねばならなくなります。

必死に引き留めようとするローナに、ダニーは「家族と離れる事はできない」と無念に伝え、最後の別れをします。

そして決定的な最後の場面へと進みます。

ダニーと両親、それぞれの決意

そのまま家族全員で、また新たな場所へ向かおうとする時、父がダニーに言うのです。

車に積んでいた「自転車を下ろせ」と。

何の事か分からず、言われるがままに自転車を荷台から下ろすと、父はダニーの顔を見つめながら、

「お前はこれから自分の人生を歩め」

と伝えるのです。

今まで家族が離れ離れになることを頑なに拒否してきた父。

ダニーの将来の事を考えに考え抜き、そのように決断したのでした。

「自分の人生を生きるんだ。

ママや私のように。

他人に左右されるな。」

その短い言葉に、彼の人生哲学や、息子への深い愛情が凝縮されていました。

そして家族は別れを告げるのです。

これからの長い人生、もう会えなくなるかもしれないという辛い別れを。

車が走り去ろうとする時、弟が「グッバイ、ダニー!」と叫ぶのです。

今までずっと一緒に過ごしてきた兄がいきなりいなくなる。

ゆっくりと別れを惜しむ時間もなく、あらゆる思いをその一言に込めたように感じました。

「グッバイ、ダニー!」

胸が引き裂かれるような切なさがこみ上げてきました。

でもダニーの涙で溢れた表情には、深い悲しさ、寂しさとともに、一人で生きていくんだという決意のような力強い何かを感じる事ができるのです。

そのダニーの決意に観ている側も希望を見出すことができるんですね。

爽やかな風が吹き抜けていくような、そんな爽快感を味わうことのできる美しいラストシーンでした。

「深い切なさ」の後に訪れる、何とも言えない「味わい深い爽快感」

良い作品を観た時だけに感じることのできる、そのような深い「感情の揺れ」を是非とも多くの人にも味わってもらいたいですね。

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どんな家族でも抱えている問題

『旅立ちの時』は、反戦運動の活動家としてFBIから生涯追われ続けるという、特殊な家庭環境を描いています。

でも、両親とその子供が葛藤する内容は普遍的なものでもあるわけです。

親と子の世代の違いからくる価値観、考え方の違いで、お互いになかなか分かり合えない。

その異なった価値観に直接的、間接的にも縛られて不自由さを感じる。

ただそこから自らの力だけで羽ばたいていく勇気もなかなか持てない。

でも最後は両者が「深い愛」からくる寛容さを発揮して分かり合い、それぞれの人生を歩んでいく。

ダニーのような特殊な家庭環境ではなくとも、そのような親と子の葛藤は、大なり小なりどんな家族でも抱えているわけですよね。

まるで我が事のように、親子の関係について色々と考えさせられる映画でもありました。

やはり名作映画は、「普遍的なもの」が描かれている事が多いので、射程距離が長いというか、まるで自分の人生を見つめ直すように問いかけられているような気分になるんですよね。

作品を観終わった後も、そんな余韻が長く続く、見事な作品でした。

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