アイルランド戦の勝利、まさに日本中が熱狂しましたよね。
スポーツは人を感動させることができます。
でも、やっぱり、ラグビーというスポーツは特別なものだなぁと、日本とアイルランドの試合を観ていてつくづく感じました。
タックルや密集戦での激しいぶつかり合いが、観てる側の感情を深く揺さぶるんですよね。
激しいぶつかり合いで揺さぶられた感情が、トライに至った時に突き抜けるような爽快感に変わる、そんな気持ちを一度でも味わってしまえば、それはもう病みつきになりますよね。
普段の日常生活では気づくことのない、人間が持ってる本能の部分を激しく揺さぶってくれるのが、ラグビーというスポーツなんじゃないでしょうか。
そのような思いを、アイルランドと日本の試合を観ていて再認識しました。
外国人も沢山日本に来てワールドカップを観戦していますよね。
この前、名古屋のホテルに泊まる機会があって、ホテルのレストランで朝食をとっていると、隣で哲学者のような雰囲気の初老の西洋人が物思いに耽りながら静かに食後のコーヒーを飲んでいました。
しばらくして、友人と思われる同年代の男性が隣に座り、二人でラグビーについて語り合っていました。
英語なので詳しいことは分からなかったのですが(笑)、聞き取れるいくつかの単語から、間違いなくラグビーについて語り合っているんですね。
そのように、静かに、しかし熱くラグビーについて長い時間に渡って語り合う初老の西洋人を見ていて、彼らの人生において「ラグビー」という存在の占める大きさ、大切さ、というものをヒシヒシと感じました。
はるばる日本まで、長い時間と安くないお金をかけてラグビーワールドカップを見に来るという事は、彼らの人生にとっては、絶対に必要であり、とても大切なことなんでしょう。
ラグビーというものが人々の人生に深く根ざしていて、そのような人々がラグビーの歴史を作りあげ、ラグビー強国であり続けることを可能にしているのでしょうね。
日本においても、今回のアイルランド戦の勝利をきっかけにして、多くの人がラグビーに興味を持ち、ラグビー強国に匹敵するほどの歴史が築かれていったらいいなぁと感じました。
ラグビーには深く人の魂を惹きつける大きな魅力が間違いなくありますからね。
話が逸れてしまいましたが(笑)、アイルランド戦のことを書きたいと思います。
日本代表の選手たちは、リザーブも含めて、誇張ではなく全員が素晴らしかったですよね。
その中でも、特に素晴らしかった何人かの選手について詳しくプレーを解説してみたいと思います。
まず、試合の開始早々に、そのプレーに感動して涙が出そうになったのが、堀江翔太です。
それは試合開始11分ほどの局面でした。
アイルランドがロングパスで大外までボールを運び、フルバックの山中亮平が1対1を気迫のタックルで止めました。
しかし内側からフォローに来た選手にパスを繋がれました。
そのフォローしたアイルランドの選手に背後から強烈なタックルをしたのが堀江翔太でした。
タックル後にすぐ立ち上がり、さらにボールを繋いできた選手に2発目のタックルに入ります。
そして2発目のタックル後、すぐ横で発生した密集に、間髪入れず、頭から突っ込んでいったんですね。
このとてつもないワークレートの高さに驚き、堀江翔太のその鬼気迫るような気迫に圧倒され、そして同時に深く感動しました。
この試合に全てを賭けているんだなぁという覚悟が、この一連のプレーから感じ取れました。
その後もタックルを繰り返し、試合を通じてのタックル総数は16回。
アタックでは13回ボールキャリーして進んだ距離は28メートル。
相手ラインアウトの乱れたボールを素早く確保して、ほぼ止まった状態から強烈な瞬発力でぶちかまし、相手スタンドオフを吹っ飛ばした堀江翔太の強さをいかんなく発揮したプレーもありましたね。
相手の読みを外すような、柔らかいラインアウトのスローで、全てのラインアウトを確保したのも堀江翔太の優れた技術のおかげです。
この試合で堀江翔太がプレイヤーオブザマッチに選ばれたわけですが、まさにそのようなプレーの数々が評価されたわけですね。
リーチマイケルが以前、「堀江さんはオールブラックスになれるほどの実力がある」と言っていたほどの実力を、この試合でいかんなく発揮したわけですね。
JSPORTSで解説していた、辛口で知られる沢木敬介さんも、堀江翔太を手放しで評価していました。
「翔太は持ち込んだボールを相手に簡単に奪われる事が絶対ない。」と、最大級の賛辞を送っていましたね。
本当に色んな人の思いを背負って、この試合に全てぶつけてきたのでしょうね。
試合後のインタビューでは、喜びを爆発させるというよりは、勝ててホッとしたというような、穏やかな表情と口調でインタビューに答えていたのが印象的でした。
大黒柱の堀江翔太がいるかぎり、日本はスコットランドにも勝てるという確信を持つことができる、そのような素晴らしいプレーを見せてくれました。
そして次に挙げたいのが、ロックのジェームズ・ムーアですね。
同じロックのトンプソンルークが注目されることが多いわけですが、ジェームズ・ムーアの目立たない下働きが、この試合に勝利した大きな要因であることは間違いないでしょう。
両チームで最多の24回のタックルを決めて、そして一度もタックルミスをしていないんですよね。
24回というタックル回数は、今大会で最多となるようです。
タックル以外にも、アタックの場面ではラックで何度も相手を剥がす下働きのプレーを愚直に繰り返していましたね。
ボールキャリーで抜群の推進力を誇るヘルウベや、タックルが強いウィンピー・ファンデルバルトを押さえて先発を勝ち取っているのは、このようにワークレートが非常に高いからなんでしょうね。
同じロックで言うと、途中交代したトンプソンルークも、ノーミスで19回タックルを決めていました。
トンプソンルークの交代で出場したウィンピー・ファンデルバルトもノーミスで5回のタックルを決め、ロックの3人だけで48回もタックルを成功させているんですよね。
本当に素晴らしい働きをしてくれました。
ちなみにトンプソンルークがボールを持って進んだ距離は1メートル。
ボールキャリーは他の得意な選手に任せて、自分はラックで相手を引きはがすプレーとタックルという泥臭いプレーに専念して、それをただ愚直に繰り返すということなんでしょう。
それを多くのファンが理解しているので、トンプソンルークはラグビーファンにここまで愛されるのでしょうね。
他にも色々と書きたい選手は多いのですが、他のサイトでも沢山書かれているし、長くなりすぎるので今回はこの辺で止めておきます。
リーチマイケルの鬼気迫る強烈なタックルなども凄かったですよね。
全ての選手が自らの役割を全うして、アイルランドに偶然ではなく真っ向勝負で勝ち切るという快挙が生まれたのですね。
ここまでの感動を与えたくれた全ての選手に感謝したいと思います。
次のサモア戦もハンカチ片手に観戦したいと思います(笑)
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