平尾誠二さんが亡くなって、もう5年も経つのですね。
毎年、命日の10月20日を迎えるたびに、平尾さんが亡くなった時の強烈な悲しみの感覚が噴出してきます。
2年前(2019年)の10月20日は、日本開催のラグビーワールドカップの最中で、日本対南アフリカ戦が行われていたんですよね。
その試合にフルバックで先発した山中亮平は、
「僕にとって、すごい日に試合がある」
と語っていたのがとても印象に残っています。
山中亮平にとって平尾誠二さんは、ラグビーの指導者という存在を遥かに超越していて、自分の人生の一番辛い時を救ってくれた絶対的な恩師という存在なのでしょう。
2年間の出場停止処分の時期、ラグビーから一切離れて神戸製鋼の社員として働いていた時、平尾さんが事ある毎にランチに誘ってくれたと山中亮平はしみじみと語っていました。
そして「お前なら大丈夫やから、絶対に諦めるな」と、励ましてくれたようなんですよね。
選手のことを思い、本当に親身になって接していたということが、色んな選手の言葉からもよく分かります。
平尾さんが亡くなった直後の試合で、キャプテンの橋本大輝が記者会見の時に号泣していたのも鮮明に覚えています。
「正直、試合できるような精神状態ではなかった」と言いながら、溢れる涙を抑える事が全くできないような状態でした。
実直な橋本大輝選手の涙には、平尾さんへの深い感謝の念が溢れていました。
そして、あの世界的な名ウィング・大畑大介さんが平尾さんへの思いを語った記事(Web Sportiva)が掲載されていました。
⇒ 平尾誠二が旅立って5年。大畑大介が今も人生の指針としている言葉(Web Sportiva)
「平尾さんが言っていることは絶対、正しいと思っていました。それに、選手もある程度のレベルまで到達すると、周りの人は何も言ってくれなくなります。でも、平尾さんは僕が息継ぎする暇なく、ずっと刺激を与えてくれた存在でした。」
「今も平尾さんに見られていると思うので、余計にがんばらなきゃいけないですね!」
監督と選手といった関係性を越えた深い尊敬の念が、言葉の端々から滲み出ているような、素敵なインタビューでした。
大畑さんは平尾さんのことを「太陽」と表現していました。
多くの人にとって、平尾誠二という存在はまさに「太陽」だったのでしょうね。
何の接点も面識もない、一介のファンである僕にとっても、平尾誠二という存在は「太陽」そのものでした。
高校の弱小ラグビー部でプレーしていた時、平尾さんの本やインタビューを貪るように読んだり見たりして、ラグビーの知識を得ていました。
そして平尾さんの本やインタビューを読めば読むほど、深いラグビー観だけではなく、その魅力的な人間性に吸い込まれるように惹かれていきました。
そんな「太陽」のような存在がいなくなってしまうという衝撃、その事実を受け入れるのに本当に時間がかかりました。
大畑さんが言っていた「今も平尾さんに見られていると思う」という言葉。
多くの人が感じていることなのかもしれませんね。
今週末の10月23日(土)には、久しぶりに国内で日本代表のテストマッチが開催されます。
対戦相手は、現在乗りに乗ってる絶好調のオーストラリア代表・ワラビーズ。
近鉄でプレーしている33歳のクエイド・クーパーがスタンドオフに定着してから好調を維持していますよね。
世界屈指の強敵相手にジャパンがどのようなラグビーを見せてくれるのか、本当に楽しみです。
山中亮平が試合に出れば、「今も平尾さんに見られていると思う」という気持ちを持ちながらプレーするのでしょう。
現在の日本ラグビーの躍進。
それこそが平尾さんが長年望み続けてきたことですよね。
平尾誠二さんから受け取ってきた数々の大切なもの、それらに思いを馳せながら、ジャパンとオーストラリアとの試合を存分に楽しみたいと思います。
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