ラグビー界のスーパースター、ダン・カーターが日本の神戸製鋼に入ると決まった時、世界中が日本に嫉妬しました。
それほどダン・カーターのプレーが見たいというファンが世界中に多いんですよね。
ニュージーランド・オールブラックスで積み上げた総得点は、「1598」で、この世界記録は未だに塗り替えられていません。
前回のワールドカップ(2015年)のオーストラリアを相手にした決勝戦で決めたドロップゴールなど、大一番で記憶に残るプレーをいくつも残してきました。
そんなスーパースター、ダン・カーターが今は日本の神戸にいるのですから、日本のラグビーファンにとっては、本当に嬉しいことです。
ダン・カーターが加入して、いきなり優勝した神戸製鋼。
優勝した要因はいくつもあるでしょうが、ダン・カーターの存在がチームに与えた影響もかなり大きなものだったことは間違いありません。
現在、日本代表で活躍している山中亮平は、日本人離れしたロングキックが持ち味の一つです。
誰よりも飛距離の出る左足のキックに自信を持っている山中亮平ですが、ダン・カーターにキック技術を教えてもらったことで、更によくなったようです。
そして、神戸製鋼と対戦したトップリーグの選手が、ダン・カーターについて口をそろえて言っていることがあるんですよね。
それは、「ダン・カーターは流れずに、真っすぐ走ってきてパスをするので、とてもディフェンスしにくい」ということなんです。
これは、言葉で言うと簡単なことなんですが、実際に高いレベルでそれが実践できているスタンドオフは本当に少ないと思います。
どうしてもパスをする時に、体が横に向いて、流れてしまうわけです。
でもダン・カーターは体を横に向けたり流れたりしないので、相手はダン・カーターを捨てることができず、結果的に味方が余ってトライに結びつく可能性が高まるわけです。
以前、日本代表ヘッドコーチ時代のエディー・ジョーンズが、興味深いことを言っていました。
当時、日本代表バックスの中心プレーヤーであった立川理道を評して、「立川理道はダン・カーターよりもボールキャッチング技術が高い」と。
柔らかなボールキャッチング技術が、その後のパスに繋がるわけで、スタンドオフにとってボールキャッチング技術はとても重要になります。
世界をよく知るエディー・ジョーンズのその言葉は信頼性がありますよね。
そして、そのようにエディー・ジョーンズが高く評価する立川理道よりも、ボールキャッチング技術とパス技術が高いと言われているのが田村優です。
現在の日本代表の正スタンドオフですね。
日本のバックスのスキルというのは、世界的にみても非常に高いレベルだということなのでしょう。
田村優はそのように非常に高いスキルを誇るわけですが、一点だけ改善すべき面がありました。
それは、ボールを受けてパスをする際、体が横に流れてしまう傾向にあったので、ディフェンスは田村優を捨てて次の選手へと行く事ができるわけです。
ダン・カーターと比較すると、この点が劣っていたわけですね。
田村優自身も、それはしっかりと自覚していたのでしょう。
ワールドカップ前の日本代表の合宿では、この部分の改善に取り組んでいたようです。
そして、ワールドカップを迎える直前のインタビューで、「ダン・カーターのように真っすぐ走ってパスするスキルを身につけることができた」と力強く断言しているんですよね。
これは非常に大きなことだと思います。
田村優がそのような技術を身につけることによって、日本代表のトライ数が増える事は間違いないでしょう。
それほどバックスの起点であるスタンドオフの細かな動きは重要になってくるんですよね。
ダン・カーターと神戸製鋼で一緒に練習している山中亮平は、田村優と同期なので、そのあたりの事も話し合ったのかもしれませんね。
そういった点からも、ダン・カーターが日本ラグビーに与えた影響が大きなものだということが垣間見えてきます。
これは一つの事例であって、表には出てこないものは、もっともっとたくさんあるでしょう。
田村優がダン・カーター流の真っすぐ走りながらパスをする姿をワールドカップの舞台で見たいですよね。
そしてそのような動きから生まれるトライが、日本を初のベスト8に導いてくれるのを期待したいと思います。
この記事へのコメントはありません。