ロマンスドールは、まだ映画館で上映中の作品ですが、フル動画がU-NEXT独占で配信されています。
このような社会状況で、なかなか映画館に足を運ぶ事も難しいですよね。
なので、自宅でゆっくりと、感動の名作を楽しみましょう。
こんな時期だからこそ、家族の大切さが深く心に沁みるロマンスドールは見る価値があると思います。
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以下、僕がロマンスドール公開当日に見に行った直後に書いた感想です。
2020年1月24日(金)から劇場公開となりましたが、9時40分の一番最初の回で観てきました。
見終わったばかりの今、『ロマンスドール』主題歌、never young beachの「やさしいままで」を聴きながら、その優しいギターの音色に包まれながら感想を書いています。
スタバで書いているわけなんですが、この曲を聴いていると映画の色んな場面が思い出されて、何だか涙が溢れてきて恥ずかしいです(笑)
一言で今の気持ちを表現すると、
「とにかく感情が激しく揺さぶられた」
ということです。
ちょっと打ちのめされてる感じというか(笑)
想像以上に素晴らしい映画でした。
高橋一生、蒼井優ともに、素晴らしい演技でした。
「夫婦」というものを深く考えされられます。
というか、自分の胸にまっすぐ剣を突き付けられたような気分です。
自分自身の、奥さんに対する思いやりの欠如ぶりに、恥ずかしさを通り越して絶望してしまいましたね。
平穏な日常の中で、「ありがとう」とかそんな感謝の言葉もほとんど言えないようになってしまっている自分。
何と情けないことでしょうか。。
哲雄と園子は、一度は破綻しかけた結婚生活を、もう一度お互いに対する思いやりを取り戻すことで、うまくいっていた時よりも何倍も濃密なものへと作り直していました。
僕自身もそうしなければいけない、そう強く思いました。
高橋一生がインタビューでこんな事を言っていました。
「この映画を見て、嫁を抱こうと思いました」という感想があって、素晴らしいなと思いました。
それを受けて、タナダユキ監督が
「最高ですよね。それで夫婦円満になるなら、この映画を作ってよかったと思います。」
と答えていました。
僕も奥さんをたっぷりの愛情を持って抱こうと思いました(笑)
単純ですいません。。
外部からのきっかけや刺激でしか変わらない自分もホトホト情けないですが(笑)、でも改善しないよりはマシですよね。
「愛情」と「思いやり」を決して忘れないように。。
日々の忙しさやストレスの中で、心がギスギスしてまた自分の事しか考えられなくなった時、哲雄と園子の事を思い出したいと思いました。
大切な人の事を、心の底から深く考えられるような、そんな映画だと思います。
『ロマンスドール』
是非とも多くの人に見てもらいたいです。
ロマンスドールの内容・あらすじ
一目惚れをして結婚した園子(蒼井優)と幸せな日常を送りながら、ラブドール職人であることを隠し続けている哲雄(高橋一生)。
仕事にのめり込むうちに家庭を顧みなくなった哲雄は、恋焦がれて夫婦になったはずの園子と次第にセックスレスになっていく。
いよいよ夫婦の危機が訪れそうになった時、園子は胸の中に抱えていた秘密を打ち明ける。
夫の嘘と、妻の秘密。
それぞれの思いを抱えながら、ふたりはどんな答えを見つけるのか?
変わりゆく男女の感情をリアルに映し出す、美しく儚い、大人のラブストーリー。
ロマンスドールの感想【ネタバレあり】
では、ここからは『ロマンスドール』の感想を、がっつりネタバレありで書いていきます。
これから映画を観ようと思っている人は、十分に注意してくださいね(笑)
映画の序盤も、愛情とユーモアたっぷりの展開で見応え十分なんですが、後半が衝撃的過ぎて、今、頭に浮かんでくるのは後半の場面ばかりです。
哲雄と園子は、自らの嘘と秘密を、2回の機会に打ち明け合います。
一度目は、園子に「私に隠してる事ない?」と面と向かって聞かれた哲雄は、嘘をつき通せない生真面目な性格なので、秘密を二つ告白しました。
・自分がラブドール職人であるということ
・一度だけ浮気をしたこと
秘密を告白して謝った哲雄は、同じように「僕に隠してる事ない?」と園子に聞きます。
園子は、
「私も寂しくて一度だけ浮気をしてしまいました。ごめんなさい。」
と告白するのです。
お互いに驚きながらも、でも秘密を打ち明け合ったことで、一時期冷めきっていた関係が少し改善するのですね。
でも、園子は、もうひとつのもっと大きな秘密だけはその時に打ち明けられなかったのです。
それは、園子が「癌(がん)」だということ。
自分は子供も産めなくなるし、自分の存在が哲雄の重荷になっているとも思い詰めて、自分から一方的に離婚しようと切り出すのです。
離婚して自分ひとりで癌の手術に立ち向かおうとする園子。
でも哲雄は、
「絶対に離婚したくない。僕は子供が欲しいから園子と結婚したわけじゃない。」
と泣きながら訴え、二人はうまくいっていた時の何倍もの強い心の絆で結ばれるのです。
ただ、そこから癌との苦しい戦いが続いていくのですね。
一度手術に成功したが、また再発した後、もう手の施しようがないと医者に告げらた哲雄。
癌になって、二人の関係がまた上手くいき始めてから、哲雄と園子は以前より何倍も濃密なセックスを繰り返し、お互いの体を愛しむように求め続けるのです。
タナダユキ監督は何度も登場するセックスシーンについて、
「はかなく美しい園子を残したかったので、リアルとファンタジーの境界線を狙った」
と答えていました。
「リアルとファンタジーの境界線」。。確かにその表現がぴったりくるような、はかなくも美しいセックスの連続でした。
ただ、欲を言えば、僕はセックスのシーンで、もう少しリアルの要素を強くしてもらいたかったなぁと感じましたね。
蒼井優も体当たりでセックスシーンに挑んでいたんだと思います。
あえぎ声とか、感じている表情とか、色気があって素敵でした。
ただ、もっと、本能で感じる、本能で乱れる園子が見たかったですね。
日常生活の延長にあるような、平穏な状態でのセックスであれば、そこまでしなくてもよいように思います。
でも、園子に死が迫っている事は、二人とも切実に感じているわけです。
もう哲雄に(園子に)触れる事ができなくなる、この愛おしい人をこの手で触れることもできなくなる、という「絶望的な不安」が根底に存在する中でのセックスなんです。
そのような状況でのリアルなのは、全てを曝け出し切る、本能に突き動かされるセックスじゃないでしょうか。
と少し本音を書きましたが(笑)、色んな事情もあるのでしょうね。
いずれ、蒼井優にはその領域にまで踏み込んでもらいたい、到達してもらいたいと僕は思いました。
こんな事書いてしまいましたが、多くの人にとっては、十分すぎるほどリアルで刺激的で美しさも感じる場面であったのかもしれません。
園子が騎乗位で自ら腰を振りまくるような、そんな刺激的なシーンが何度もありました。
生があるうちに、哲雄の全部を感じていたい、哲雄を記憶に深く刻んでおきたい、そんな湧き上がる思いから腰を自ら打ちつけるようなセックス。
それは本当に素晴らしかったです。
「セックス」と「不安」が密接に結びついているということ。
僕はそのことを思い起こす時、いつも元外交官で作家の佐藤優さんの体験が脳裏によみがえってくるんですよね。
佐藤優さんが、崩壊寸前のソ連に勤務していた時、まさにクーデーターで体制が転覆してしまうという場面に遭遇したようなんですね。
クーデーターが起これば、政府関係者は殺されてしまう可能性も高いわけです。
そんな死の恐怖がすぐそこまで迫っている状態で、人はどのように行動したかというと、大使館の廊下とかそこかしこで毛布一枚だけかけてセックスしていたというんですね。
「極限の不安」は、人に「強烈なセックスの衝動」をもたらすということなんしょう。
もちろん、哲雄と園子は、極限の不安だけでセックスをしていたというわけではないでしょう。
最も愛する人を、最も大切なものを、できるだけ身近に感じていたい、というか一体になりたい、そんな思いだったのでしょうね。
根源的な感情によって突き動かされるように求め合う二人。
そこに夫婦の美しい姿を僕は見出しました。
人生の残り時間を惜しむように、お互いを求め合った哲雄と園子。
しかし、残酷にも園子は病魔には打ち克つ事はできず死を迎えるわけです。
園子を失った哲雄は、鬼気迫るような全身全霊をかけて、園子にそっくりのラブドールを完成させるのです。
園子が死ぬ間際のセックスの最中、「私を作って」と口走った言葉を忠実に再現するかのように。。
それはどのような心境なのか、どのような意図なのか、僕はまだ整理することはできませんが、そこには何か神々しいものがあったということは事実です。
目の前にはもういない園子への思いを哲雄が全て注ぎ込んで出来上がった完成物がそこにあったのです。
『ロマンスドール』を観終わった直後に、感情がほとばしるまま、脈略なく感想を書いてみました。
とても「深いもの」を『ロマンスドール』から受け取った僕は、今でもまだ「心が揺さぶられている」状態です。
でも、心が深く揺さぶられるからこそ、心の奥底に深く刻み込まれる大切なものが残るんですよね。
僕はその深く刻み込まれた大切なものを忘れないように、いつ終わってしまうかもわからない日常を大切にしたいと思いました。
そして奥さんの事を深く愛したいと思いました。
ロマンスドールでピエール瀧が演じた役柄
ロマンスドールは、ピエール瀧が出演しているということで、公開が延期されていたんですね。
公開を希望する声が殺到したので、取り直しも行わずに延期して公開されることになったわけです。
確かに映画を見てみると、ドール制作・販売会社の社長という重要な役でピエール瀧は出演しているので、取り直しとなると大変な作業となったでしょうね。
延期だけで無事公開されて本当によかったと思います。
タナダユキ監督・蒼井優主演という二人のタッグは2作目なんですよね。
前作は、2008年の『百万円と苦虫女』です。
ピエール瀧はその『百万円と苦虫女』にも出演しているんですよ。
タナダユキ監督はピエール瀧の役者としての実力をかなり高く評価しているのでしょう。
『百万円と苦虫女』と『ロマンスドール』では、ピエール瀧は全くタイプの違う役を演じています。
『百万円と苦虫女』では、桃栽培農家の息子を演じています。
朴訥で純粋な、結婚できない田舎の中年男という難しい役柄をそれは見事に演じきっているんですよね。
そして『ロマンスドール』での社長の演技も、それは見事でしたよ。
胡散臭い雰囲気を漂わせた中小企業社長を演じさせたら、右に出るものはいないんじゃないかというほど(笑)
完成したドールのオッパイを揉むシーンがあるんですよ。
ドールのオッパイの弾力性、柔らかさなどをチェックしているんですが、その時に醸し出すおっさん特有のエロさの表現は、本当に見事でした。
『ロマンスドール』が深みのある名作映画に仕上がったのは、主演の高橋一生、蒼井優と共に、脇を固めた3人の名優、ピエール瀧、きたろう、渡辺えりの存在があったからこそですよね。
また、ピエール瀧の演技が見てみたいと思いました。
その後、ピエール瀧が2021年公開の「ゾッキ」という映画で俳優業に復帰するということが発表されました。
「ゾッキ」でピエール瀧は漁師を演じるようですよ。
『ロマンスドール』での味のある社長役、『百万円と苦虫女』での農家の息子役に匹敵するような、素晴らしい演技をまた見せてくれるんだと思います。
楽しみに待ちたいですね♪
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