『百万円と苦虫女』
何とも風変わりな映画のタイトルですよね。
『百万円と苦虫女』は2008年の作品なので、主演の蒼井優は当時22歳なんですよね。
人とのコミュニケーションを避けがちで、友達もいない、そんな幸薄い、根暗なキャラを蒼井優が見事に演じきっています。
現在の30代半ばを迎えた蒼井優の充実ぶりは誰の目にも明らかですよね。
でも、22歳当時の『百万円と苦虫女』での蒼井優の演技も本当に素晴らしいんですよ。
『百万円と苦虫女』の簡単なあらすじ
就職浪人中の鈴子(蒼井優)は、アルバイトをしながら実家で暮らしていた。
彼女は仲間とルームシェアを始めるが、それが思いも寄らぬ事件に発展し、警察の世話になる。
中学受験を控えた弟(齋藤隆成)にも責められ家に居づらくなった彼女は家を出て、1か所で100万円貯まったら次の場所に引っ越すという根無し草のような生活を始める。
鈴子の出会いと別れ、そして不器用な恋を丹念に映し出す、ほろ苦い青春ロードムービー。
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『百万円と苦虫女』を観た感想【ネタバレあり】
『百万円と苦虫女』。
率直に素晴らしい映画だと感じました。
全編を通して、言いようのない「悲しみ」「不安」のようなものが漂っている映画ではありますが、それと同じように「希望」もしっかりと描かれています。
簡単に言えば、鈴子(蒼井優)の成長物語であり、「青春ロードムービー」というカテゴリーに属す映画なんでしょうが、蒼井優の素晴らしい演技が、この映画『百万円と苦虫女』にそういった枠には収まらない大いなる深みを与えています。
色々あって実家を出た鈴子は、3つのアルバイトを経験することになります。
まず最初、海辺の町に流れ着き、海水浴シーズンでもあったので、そこにある「海の家」でアルバイトを始めるんですね。
この「海の家」で働いている時の白いタンクトップ姿が、もう、めちゃくちゃ可愛いんですよ(笑)
おしゃれだとか、そういった洗練された雰囲気では全くないんですね。
ファッションなどに全く関心がない、とにかく100万円貯める事にしか関心がなくバイト中でも暇さえあれば預金通帳ばっかり眺めてる鈴子なんですが(笑)、その飾り気の全くない白いタンクトップ姿に僕はメロメロになってしまいました。
22歳の蒼井優は、今よりも痩せてる感じで、鈴子という役柄的にも、性的な魅力を醸し出す事を極力抑えている演技なんですが、逆に僕はそのような鈴子の雰囲気から、何とも言えない色気を感じましたね。
海の家でのバイト中、チャラい雰囲気の茶髪の男の子にナンパされて、パーティに誘われたりするうちに、そのような関係に煩わしさを感じ、すぐにバイトを辞めてしまいました。
そしてまた新たな土地へと放浪するのです。
次に鈴子が辿り着いたのが、山間の過疎の村なんです。
桃の産地として有名らしい、老人ばかりの寂れた村で、住み込みで桃の収穫のアルバイトを始めたのです。
桃の収穫する時、畑仕事をするおばあちゃんのような恰好をしているんですが、このおばあちゃんルックも、白タンクトップに引けを取らないくらい、めちゃくちゃ可愛かったですね(笑)
毎日早起きして、ただ桃を収穫し続けるという単調な日々にそれなりに満足していた鈴子だったんですが、ひょんなことから、その村を大々的にアピールする「桃娘」という役割を担わされそうになるのです。
桃娘を断ると、村の人から沢山の罵声を浴びせられ、そういった事にも嫌気が差して、この町からも早々に逃げ出してしまいます。
次に辿り着いたのが、東京から電車で1時間という郊外です。
その町のホームセンターで新たにアルバイトを始めます。
そして、ホームセンターのアルバイトの同僚、亮平君(森山未來)に恋をすることになるのですね。
色んな所をアルバイトしながら転々としているという話を亮平君にしたところ、
「自分探しみたいなもんですか?」
と聞かれます。
鈴子はこのように答えるのです。
むしろ探したくないんです。
どうやったって自分の行動で自分で生きていかなきゃいけないですから。
探さなくたって、嫌でもここにいますから。
逃げてるんです。
煩わしい人間関係から、そして自分自身からも「逃げている」という事を、今までは意識しないでおこうと思っていたのに、言葉にしたことでその事実を自分の胸に突きつけられることになったのですね。
今まで決して誰にも晒さなかった心の中を、密かに恋心を抱いていた亮平君に知られたことで、急に恥ずかしく、そして惨めになる鈴子。
店を飛び出して、亮平の前から去ろうとするわけですが、追いかけてきた亮平に告白されます。
そして自分も亮平君の事が好きだと打ち明けるのです。
この場面は本当に素敵でしたね。
自分に劣等感を抱きながら、心に痛みを抱えながら、それでも好きだと恥じらいながら打ち明ける感じ。
その複雑な心境を、22歳という若さで見事に演じきった蒼井優の凄みをまざまざと見せつけられました。
蒼井優だからこそ演じれたのだと感じました。
その後、一緒に歩きながら、ぎこちなく手を繋ぐ感じも素敵なんですよ。
家に帰り、照れた表情を浮かべながらの初めてのキス。
そしてその夜、初めて結ばれるわけです。
次の日の朝の鈴子の寝顔が少女のように穏やかなんですね。
本当に久しぶりに、というか生まれて初めて、大いなる安らぎを感じたという雰囲気の穏やかな寝顔なんです。
こんなにも人の事を初めて好きになり、人と繋がる事、一緒にいる事の幸せを感じ始めた矢先、色々あって亮平との別れがやってきます。
鈴子は実家を出てから、弟とだけは手紙のやり取りをしていました。
学校でいじめられている弟が、
「お姉ちゃんの姿を見て何があっても逃げないと決めた。」
と手紙に書いてきたんです。
その手紙を読んで、激しく泣き崩れた後、弟に返事を書きます。
それはこんなにも気持ちを曝け出した素敵な手紙だったんです。
姉ちゃんは、自分のことをもっと強い人間だと思っていました。
でもそうじゃありませんでした。
家族でも恋人でも、長く一緒にいれるコツって、一番大切な事は言わないでいることなんじゃないかなと思っていました。
大人しく適当に愛想笑いをしていたらトラブルなく過ごせると思っていました。
いつのまにか何も言えない関係になってしまうのは不幸な事です。
人は出会ったら、必ず別れるのだと思います。
その別れが怖いから、姉ちゃんは無理をしていました。
でも、出会う為に別れるのだと、今気づきました。
好きな人とお別れしたって、ちっとも泣くような事じゃないって思いました。
姉ちゃんは色んな人から逃げてきましたが、今度こそ、次の街で、ちゃんと自分の足で立って生きていこうと思います。
亮平との別れはとても辛い。
でも亮平との関係は、お互いの弱さをただ癒し合うために繋がっていたような、依存的であり、もろく、すぐにでも崩れてしまいそうな、そんな関係であったかもしれない。
自分の弱さを克服しなければ、お互いに深く満たし合うような、本当に意味のある出会い・関係は築けないのかもしれない。
そのような思いを抱き、鈴子は新しい未来へと歩み始めたのですね。
「ちゃんと自分の足で立って生きていこう」と強く決心したのです。
そして最後の場面。
心のどこかで亮平が引き止めに来てくれるのを期待していた気持ちもあったのですが、行き違いで鈴子と亮平の運命はもう二度と交わることはありませんでした。
「来るわけないか。」
そんな言葉を残して、鈴子は歩き出したのです。
切なく、やるせない気持ちで胸がいっぱいになりました。
ハッピーエンドではなく、悲しみは胸に残りますが、でも新たな希望の萌芽を感じる事ができるんですよね。
鈴子の輝かしい未来に希望が持てる、ラストの清々しい鈴子の表情がとても印象に残りました。
『百万円と苦虫女』 最後のまとめ
『百万円と苦虫女』。
青春の痛々しさ、瑞々しさをヒシヒシと感じる事のできる素晴らしい映画でした。
このような素晴らしい映画になった大きな要因は、間違いなく蒼井優の素晴らしい演技力だと感じました。
22歳の蒼井優、恐るべしです。まさに渾身の演技でした。
タナダユキ監督の映画は、繊細で素晴らしいものが多いですが、蒼井優が主演することで深みが何倍増しにもなるように思います。
まだ『百万円と苦虫女』を観ていない方、是非多くの人に観てもらいたい映画だと僕は感じました。
『百万円と苦虫女』はHuluで配信中です。(2020年1月現在)
Huluは月額933円(税抜)のサービスですが、登録後、2週間は「無料お試し期間」となります。
なので、その無料お試し期間を利用して、まずは『百万円と苦虫女』を楽しんでみてください♪
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タナダユキ監督、蒼井優主演の『百万円と苦虫女』。
その二人の強力タッグ、第二弾が、『ロマンスドール』なんですよね。
2008年の作品『百万円と苦虫女』から、12年を経て、2020年に『ロマンスドール』が公開されました。
二つの作品を見比べてみると、蒼井優という素晴らしい女優の成長過程がしっかりと見て取れます。
『百万円と苦虫女』を観た後、是非とも『ロマンスドール』も御覧になってみてください♪
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