具智元。
日本の強いスクラムを支え続けている男。
普段はチームメイトやファンから「グーくん」と可愛いらしいニックネームで呼ばれている愛されキャラは、スコットランド戦で悔し涙に暮れる事になってしまいました。
前半の21分という早い時間帯に怪我で交代することを余儀なくされたのです。
相手プレーヤーとぶつかった際に脇腹を痛め、普段は痛がる姿などほとんど見せない具智元が苦悶の表情を浮かべ苦しんでいました。
これほど痛がるということは大きな怪我である可能性が高いわけですが、具智元はまた戦いの場へと戻ろうとしたのです。
しかし事の重大さを察したベンチが交代を決断します。
本当に無念だったのでしょう。
悔しさを必死で押し殺しているのがこちらにも伝わってきます。
グラウンドから外に出た瞬間、具智元の無念を察したリザーブの選手たちが具智元の肩を抱きかかえ、それまでの健闘を称えていました。
その瞬間、具智元はもう涙をこらえることができませんでした。
表情をくしゃくしゃにして涙を流していました。
この瞬間の動画が、何と90万回以上も再生されているのです。
わずか7秒の本当に短い動画なんですが、90万回以上も再生され、日本だけではなく世界中に反響が広がっているのです。
日本代表の選手たち全員が、このスコットランドとの戦いを自分たちの決勝戦と位置づけ、自分たちの持っているもの全てをぶつけよう、出し切ろうと誓い合って迎えた一戦です。
具智元も特にスクラムで絶対にスコットランドを押し切ってやろうと、強い決意を持って挑んだ一戦だったでしょう。
思い半ばでグラウンドを去る事になってしまったわけですが、具智元の無念を受け継いだ選手たちが、その後すぐのスクラムで相手から反則を勝ち取ったのです。
その時の盛り上がりは凄まじいものでした。
このスクラムも試合の大きな分岐点の一つとなりました。
具智元。
本当に魅力的な人物ですね。
ラグビーに最も造詣の深いスポーツライターである藤島大さんが語っていた具智元の話が秀逸なんです。
これは藤島大さんが、具智元のお父さんに直接聞いた話のようです。
具智元のお父さんは往年のラグビーファンなら誰もが知っているほどの有名なラグビー選手だったんですね。
具智元と同じプロップで、「アジア最強のプロップ」と呼ばれるほど、滅法スクラムに強かったんです。
そんな具智元のお父さんは、具智元にラグビーの英才教育を施すために、ニュージーランドへのラグビー留学を進めたのです。
その時、具智元はまだ小学6年生ですよ。
しかし、ニュージーランドへ送り出した具智元の体重が10キロも減ってしまったようなんです。
よくよく聞いてみると、ニュージーランドのホームステイ先のホストファミリーが、何と「ベジタリアン」だったらしいんですね(笑)
見知らぬ土地で、小学6年生の少年が野菜だけを食べながらげっそりとやせ細ってラグビーに打ち込んでいたわけです。
笑っていいのやら、泣いていいのやら、まさに悪夢のような話ですよね(笑)
小さい頃からそのように厳しく育てられ、このような素晴らしいラグビー選手へと成長していったわけですね。
具智元の怪我の具合が心配ですね。
願わくば、早期に回復して、とても強い南アフリカのスクラムを押し込む具智元の姿を見てみたいです。
ただ、具智元は25歳とまだ若く、輝ける未来が待っているわけなので、無理はしてもらいたくないですね。
日本の決勝トーナメント進出に、既に大いに貢献してくれたのは間違いないことですし。
次は涙ではなく、目が糸のように細くなるあの愛くるしい笑顔の具智元を見れる機会を待ちたいと思います。
この記事へのコメントはありません。