ラグビー南アフリカ代表の往年の名選手・チェスター・ウィリアムスが死去

ラグビー日本代表と南アフリカ代表が戦った翌日、悲しいニュースが飛び込んできました。

1995年、南アフリカで開催されたラグビーワールドカップのメンバーであった、チェスター・ウィリアムス死去したというニュースです。

死因は心臓発作ということでした。

まだ49際という若さでした。

日本でもここまでニュースになるくらいですから、母国の南アフリカは大きな悲しみに包まれているでしょう。

チェスター・ウィリアムスは非常にスピードのある、トライを量産する選手として有名でした。

チェスター・ウィリアムス

しかし、ラグビーの名選手というだけではなく、当時の南アフリカにとっては象徴的で非常に重要な選手だったわけです。

1995年に南アフリカでラグビーワールドカップが開催されたわけですが、当時の南アフリカはアパルトヘイト政策のせいでラグビーの国際舞台から長く締めだされていた影響から、チーム力は弱体していたのです。

大方の見方は、ニュージーランドが優勝の絶対的本命で、南アフリカは優勝は無理だろう、ということだったのです。

しかし、当時のネルソン・マンデラ大統領は、自国開催のラグビーワールドカップで優勝することが、南アフリカが真の意味で国際舞台に復帰する為に絶対に必要な事だと考えたのですね。

そのあたりの詳細は、映画「インビクタス/負けざる者たち」でも詳しく描かれています。

ネルソン・マンデラとフランソワ・ピナール

⇒⇒ 「インビクタス/負けざる者たち」について書いた記事はこちら


南アフリカにとって、ラグビーは白人のスポーツでした。

黒人は主にサッカーをやっていたのですね。

南アフリカの黒人居住地

アパルトヘイト時代、白人に差別されていた黒人は、ラグビーの試合があると常に南アフリカと対戦する国を熱狂的に応援していたのです。

南アフリカのラグビー

だから、南アフリカにはニュージーランド・オールブラックスのファンも多いんですよね。

ネルソン・マンデラ大統領は、そのような状況も変えたいと思っていたのです。

ラグビーの南アフリカ代表を、国民の全員が応援するような、そんなチームにしたいと考えたわけです。

今でこそ、ラグビー南アフリカ代表には、沢山の黒人選手がいます。

象徴的な存在として、現在の南アフリカ代表のキャプテンは、シア・コリシという黒人選手です。

シア・コリシの強烈なタックル

黒人選手が南アフリカ代表のキャプテンをするなんて、数年前までは絶対に考えられなかったことなんですよね。

そして1995年当時、チェスター・ウィリアムスは、チームの中で唯一の非白人選手だったのです。

「非白人選手」と言われるのは、チェスター・ウィリアムスは純粋な黒人選手ではなく、「カラード」だったのです。

※カラードとは、アジア系移民やオランダ移民とアフリカ人との混血によって生まれた人々の総称のこと。

ネルソン・マンデラ大統領は、人種融合を掲げる国家の象徴的な選手として、チェスター・ウィリアムスに大いに期待していたわけです。

そして南アフリカの非白人の人たちは、チェスター・ウィリアムスを熱狂的に応援したわけです。

チェスター・ウィリアムスがいたからこそ、南アフリカ代表チームを応援したという南アフリカ国民は本当に多かったと思います。

それほど、南アフリカ代表にとって、象徴的存在であり、大切な選手だったわけですね。

1995年の南アフリカで開催されたラグビーワールドカップで成功をもたらすことに大いに貢献したチェスター・ウィリアムスが、日本開催のラグビーワールドカップの直前に亡くなってしまったわけです。

南アフリカの選手たちは、チェスター・ウィリアムスの思いを背負って絶対に優勝するという気持ちでワールドカップ本番を迎えることは間違いないでしょうね。

本当に素晴らしい選手だったチェスター・ウィリアムスの冥福を祈りたいと思います。

チェスター・ウィリアムスも魅力的に描かれている映画「インビクタス/負けざる者たち」も是非ご覧になってみて下さい。

⇒⇒ 「インビクタス/負けざる者たち」について書いた記事はこちら

  • コメント: 0

関連記事

  1. ジェイミー・ジョセフ 日本代表ラグビー監督の続投が正式決定!

  2. 森谷圭介に注目!サンウルブズが開幕戦で見事な勝利!

  3. ラグビー日本代表

    スコットランドに勝った日本代表のラグビーが世界中から賞賛されている

  4. ラグビーワールドカップ開幕戦・ロシア戦のメンバー発表

  5. ラグビー日本代表・トンガ代表戦のメンバー

    ラグビー日本代表・トンガ代表戦のメンバー発表!

  6. 『テニス全米オープン』錦織圭が2年連続7度目の1回戦突破

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。