エディージョーンズ率いるイングランドはオールブラックスに勝てるのか?

ラグビーワールドカップもいよいよ佳境に入ってきました。

準決勝の第一試合は、イングランド対ニュージーランドです。

事実上の決勝戦とも言われていますね。

確かに、絶対王者であるオールブラックスを倒せる可能性が感じられるチームは、もうイングランドしかないかもしれませんね。

準々決勝でオーストラリアを破ったイングランド。

オーストラリアを破ったイングランド

試合途中まではどちらが勝つかわからない熱戦だったわけですが、チームとしての成熟度としてはイングランドが圧倒的に高いように感じました。

オーストラリアはとにかくパスを繋ぎ続けてボールを保持し続ける、というラグビーを志向していました。

それはオーストラリアの伝統でもあり、見ていて面白いアタッキングラグビーであるわけですね。

ただし、そのようなラグビーは体力も激しく消耗するわけで、数少なくてもよいわけですが、効果的なキックはどこかで使わざるを得ないわけです。

特に自陣脱出局面で顕著だったのが、ロングキックをする前に、無駄としか思えないラックを何度も作っていました。

結局ロングキックをして地域を挽回するのであれば、何故そこまでリスクを冒してラックを形成するのか、JSOPORTS解説の大西将太郎さんも疑問を呈していました。

細部まできっちりと戦略が整備されているようには思えない場面がいくつか垣間見られました。

エディージョーンズであれば、そのような未整備な部分は決して残しておかないだろうなぁと思いましたね。


一方のイングランドですが、戦略をシンプルに絞り込み、選手のプレー選択に全く混乱がないように見えました。

イングランドのラグビー

そういった部分にコーチングの差がでているのかな、とも思えましたね。

日本代表のヘッドコーチ時代には、極端にキックの回数を減らすパスラグビーを志向していたエディージョーンズ。

しかし、イングランドは、キックを多く蹴ります

ボールをあえて相手に渡し、そこから自慢のディフェンス力でプレッシャーをかけていきます。

オーストラリアは、イングランドに「ボールを持たされている」、と感じられる局面が多数ありました。

ディフェンスしている時であっても、ゲームをコントロールしているのは攻めているオーストラリアではなく守っているイングランドであるという、そのように感じる場面が多々ある試合でしたね。

そのようなラグビーを得意としているのが、南アフリカです。

南アフリカ的なラグビーも、イングランドはできるだけの強力なディフェンス力があるということですね。


話は少し変わります。

1995年のラグビーワールドカップのアイルランド戦で、平尾誠二がトライを挙げた有名なシーンがあります。

⇒⇒ アイルランド戦での平尾誠二のトライ場面

この美しいトライは世界中で賞賛されました。

このサインプレーは、スタンドオフの平尾誠二がインサイドセンターの元木由紀雄にパスをして、そして元木がアウトサイドセンターにパスすると見せかけて、その背中を通してパスを再度もらうというプレーです。

このように背中(裏)を通すパスって、当時は世界でほとんどされることがなかったので、世界がびっくりしたわけですね。

ちなみにこのサインプレーは、神戸製鋼がよくやっていたプレーなんですよ。

「神鋼スペシャル」とチームで呼ばれていたサインプレーで、このプレーでトライをよく取っていたんです。


話をエディージョーンズに戻します。

エディージョーンズもこのプレーに感銘を受けたのだと思います。

当時ヘッドコーチをしていたブランビーズで、このサインプレーを少しアレンジしてやるようになったんですね。

ブランビーズでもこのサインプレーは面白いように決まって、このサインプレーは世界中でマネされるようになっていったんです。

エディージョーンズは、背中を通すパスのサインプレーを好むんですが、その最初のきっかけは、この「神鋼スペシャル」を見てからだと思うんですよね。

本人は認めないかもしれませんが(笑)

そして現在のイングランドも、非常にうまいタイミングで背中通しのパスを組み入れてくるんですよね。

以前のイングランドだったら絶対にしないプレーだと思います。

フェーズを重ねていって、しかしディフェンスの数がそこまで減らず、攻め手を失いそうになる時、うまくこのプレーを使ってディフェンスを突破するんですよ。

セットプレーからではなく、何度かフェーズを重ねた後に使うので、ディフェンスは対応しづらいんですよね。

オーストラリア戦でも何度か有効に機能していました。

エディージョーンズのエッセンスがとてもうまく効いているプレーだと感じます。

オールブラックスとの一戦でも、少し攻めあぐねている局面で、その局面を打開する背中通しのパスが通るかどうか、見どころだと思います。


もちろんそれはほんの一部に過ぎません。

フォワードのパススキルや、ディフェンス面における細かいスキル等々、エディージョーンズは本当に細部に拘ったチーム作りをするんですよね。

イングランドのようなフィジカルの強い、地力があるチームが、そのような細かい部分まで整備されるわけですから、やはり強いわけですね。

エディージョーンズは語っていました。

「抽選会の時から、準決勝でニュージーランドと対戦することは容易に想定できた。その時からニュージーランドに勝つことをずっと考え続けてきた」と。

エディージョーンズが作り上げてきたイングランドラグビーの集大成を見る事ができるでしょう。

エディージョーンズ

イングランドにとって、初の外国人ヘッドコーチとしてエディージョーンズ招聘を決断した事の成否がこの試合にかかっているといっても過言ではないかもしれません。

イングランドが最強オールブラックスに対してどのようなラグビーをするのか、じっくりと堪能しましょう!

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