『THE HEAD』を見た感想と深い考察

このページでは、『THE HEAD』の感想と考察を深く掘り下げて書いていきたいと思います。

『THE HEAD』は全六話の作品ですが、それぞれ各話毎に書いていきます。

『THE HEAD』第一話の感想と考察

『THE HEAD』の第一話を観た感想を書いてみたいと思います。

そして感想とともに、僕自身の深読みした考察というか妄想を合わせて書いてみたいと思います(笑)

第一話の前半で、「越冬隊」のメンバー10名のうち、7名の死体が見つかるという、なかなか衝撃の展開で幕を開けた『THE HEAD』。

『THE HEAD』第一話

いったい何があったのか、「越冬隊」のメンバー10名の間に起こったことを振り返る形でこれからストーリーが展開していくわけですね。

唯一の生存者であるマギー

ヨハンに何が起こったのか、と聞かれたマギーは、「アザラシのあと、あの時からよ。。」と口走るのですね。

そのアザラシとは、基地の近くでマギーが見つけた小さな子供のアザラシのことです。

『THE HEAD』のアザラシ

親とはぐれて今にも死んでしまいそうな状態の子供アザラシをマギーは何とか助けてあげたいと思ったのです。

マギーとともにその場に居合わせたアーサーが、マギーに対してこのように諭したのです。

「助けるな。規則だ。我々はゴミを出さず野生動物と接触せず、ここに存在しないよう振る舞う。それがルールだ。」

納得がいかないマギーは、

「あの子を助けても誰にも気づかれません。」

と反論します。

それを受けてアーサーが、

「勘違いしているようだな。生も死もここでは意味がない。思いやりは命取りだ。」

と答えたのです。

『THE HEAD』アーサーとマギーのやり取り

これだけの短いやり取りだったわけですが、『THE HEAD』の今後を占う非常に重要で、示唆的なメッセージが含まれているように感じました。

文明社会と、南極では、ルールが全く違う。

それを南極に来たばかりの新人に、経験豊富なベテランが教え諭す。

構図的にはそういうことです。

子供のアザラシという、か弱い存在。

それを助けることに意味はない。

そのような行為はただの自己満足に過ぎない。

思いやりは自分の命を落とすことにも繋がる。

要は、この地(南極)で過ごすというのは、サバイバルである、と言っているわけですね。

南極

『生も死も意味がない。』

世界屈指の生物学者の口からそのように言わせているわけです。

この哲学的な言葉はいったいどのように解釈すべきなのでしょうか。

この地では生と死に明確な境はない。

それはちょっとしたことで、どちらにも転びうるような、その程度のほんのわずかな差でしかない。

「死」に意味がないというのは分かりやすいですが、「生」にも意味がないというのはいったいどういう事なんでしょうか。

南極という地では「生」にも大して意味がない、と世界屈指の生物学者・アーサーは考えているのです。

「死」と「生」が同列に扱われているということ。

「生」の意味が、限りなく希薄化して、「死」に近づいていってしまう場所である南極。

『THE HEAD』の舞台である南極


ここからは僕の憶測というか妄想に近い考察となります(笑)

「二酸化炭素を食べる細菌の発見」という歴史を変えるほどの大発見を8年前にしたアーサーとアニカ。

でもそれから8年間にわたり、アーサーとの間に深い確執があるというアニカ。

何故、歴史的な大発見をして、研究者として大成功を収めた二人の間にそこまで大きな確執が生まれてしまったのか。

その歴史を変えるほどの大発見を、アーサーが人類全体の「生」にとってプラスにはならない、富のある一部の西側の人間の「生」のプラスにしかならない形で使用しようと考えているのではないでしょうか。

そしてアニカは何としてでもそれを阻止したいと考えたのではないでしょうか。

そのような方向に絶対に行かせない為、共同研究者としてアニカは強い責任を感じたのではないでしょうか。

『THE HEAD』のアニカ

「二酸化炭素を食べる細菌の発見」という研究に打ち込んだということは、地球の環境問題に強い問題意識を持っていることを思わせます。

地球は温暖化などの劇的な環境変化で、「二酸化炭素を食べる細菌」がいなければ、もうもたないというレベルまでいってしまっているんじゃないか。

急激に増えている地球全体の人口。

その全員が生き残ることはすでに不可能である。

なので、「子供のアザラシ」に相当する「富もなく力もない弱い人間たち」を助けることはできない、というか助ける意味がない、そのような思いやりを持つと豊かな西側の人間である自分たちも死んでしまう。

生物学者・アーサーはそのような「選民思想」を持っていて、アザラシに関するマギーとの対話は、その思想が反映されていたのではないか。

「越冬隊」には残らないでほしいという最愛の夫・ヨハンの強い希望も断り、子供が欲しいという希望もしばらく封印して、「越冬隊」として南極に残る決断をしたアニカ。

弱い者に寄り添う優しい気持ちの持ち主であると思われるアニカが、共同研究者として覚悟を持って何らかの行動を起こしたのではないかと想像しました。

第一話の最後には、生死がまだはっきりしていないアニカが書いたヨハン宛の手紙が見つかりました。

ニカが書いたヨハン宛の手紙

ヨハン。許されないことをしてごめんなさい。私の手は血で汚れた。業火に値する罪よ。

誰かを殺してでも絶対に止めなければならない出来事が進行していたのかもしれません。

そしてアニカとともに、アキ・コバヤシ(山下智久)もそこでは大きな役割を果たしたのではないでしょうか。

アーサーの事を深く尊敬しており、アーサーの右腕であるアキ。

アーサーが何を考え何をしようとしているのか、知ることになったアキはいったいどのような行動に出たのか。

まだ視聴者には多くの情報が与えられておらず、分からないことが多すぎますが、深読みして色んな妄想がどんどん膨らんでいくほど刺激に満ちた作品であるという感想を持ちました。

とにかく第二話を楽しみに待ちたいと思います。

『THE HEAD』第二話の感想もまた書いてみたいと思います。


『THE HEAD』第二話の感想と考察

『THE HEAD』第二話

『THE HEAD』第二話の感想と考察を書いていきたいと思います。

『THE HEAD』第二話も面白かったですねぇ。

第一話を観た後、今後の展開ということで考察を書きましたが、全く見当違いな流れになってきたかもしれません(笑)

第二話を観終わった後、誰が犯人なのか、動機は何なのか、はっきり言ってまだよく分かりませんね(笑)

『THE HEAD』第二話の最後の方、ヨハンがこんな事を言いました。

「極地に来る者は、何かから逃げていたり、何かを隠してる。」

なので今回、各登場人物について詳しく見ていくことで、何らかの手掛かりを探ってみたいと思います。

『THE HEAD』各登場人物


ここまでの過去の回想シーンは、唯一の生存者であったマギーの目線で語られてきました。

ここに二人目の生存者アーサーが加わることで、第三話はアーサー目線の回想シーンが描かれることでしょう。

第二話の最後、アーサーが、ヨハンにこのように言いました。

「お行儀よく被害者を演じてるんだろ。あいつを信じるな。あの女(マギー)が全員殺した。」

衝撃の告白でしたよね。

少し怪しげな雰囲気も漂っていたマギーですが、全員殺すほどの冷徹さをこの若く可愛い女性が持ち合わせていたのか。。

マギーはアキ(山下智久)の彼女でもありますよね。

ただ、このアーサーの発言も気になる点があります。

第二話ではマイルズに続き二人目に死んだ人物が明らかになりました。

ニルスですね。

ニルス

ニルスは、マイルズが殺される前、殴り合いの喧嘩をしたり、血まみれのノコギリを所有していたり、誰が見てもマイルズ殺害についての最も怪しい存在でした。

しかし、本人は「嵌められた。濡れ衣だ。」と言っていました。

アーサーが語っていたように、マギーが全員殺したという事であれば、マイルズもニルスも本当にマギーが殺したのか?

でも、これは怪しいですよね。

アキがマギーに語っていたように、マイルズを殺した犯人は、完全に計画的に殺害を実行したわけです。

死んだマイルズ

まず、通信機器を破壊することで、外部との接触を断つという目的がありそうです。

基地を長期間に渡って完全に孤立させることで、何か本当にやりたいことがあったのでしょう。

マイルズしか通信機器を直すことはできないので、彼を殺すことで孤立状態を長期間に渡って維持できるわけです。

基地を孤立状態

ニルスにはどうやらT3の症状が出ているようで、色々と混乱している様子でしたが、自分の仕事道具であるノコギリが血まみれ状態で自分のクローゼット内に置かれていたことに、完全に狼狽していました。

このシーンは信憑性ある雰囲気で描かれていたので、ニルスが誰かに嵌められた、濡れ衣を着せられたというのはかなり信用できるでしょう。

とすると、誰がマイルズを殺したのか?

アーサーの言葉が正しいなら、マイルズもニルスもマギーが殺したことになります。

でも、何だかおかしいですよね。

マイルズを計画的に殺害し、ニルスにその罪を押し付けることにほぼ完全に成功している段階で、なぜニルスを殺害する必要があるのでしょう?

全員を殺害するというのが最終目的だというサイコパス的な目的ではない限り、何か他の目的を達成する為の手段としての殺害なのだと考えると、この段階でニルスを殺害して得られるメリットはあまりないように思えます。

そうすると、アーサーは勘違いしているのか、嘘をついているということになります。

エバ、アーサーの二人が生存者として確認され、あと生きているのはアニカかエバのどちらか一人です。

アニカの名前が何度も登場するなど、明らかにアニカのほうがこのドラマでは重要な人物であり、アニカが生き残っている可能性が高いと僕は感じました。

部外者の犯行という可能性は、エリックにその可能性について発言させ、基地の周りをみんなで捜索した事で、なくなったと考えてよいのではないでしょうか。

基地の周りをみんなで捜索

そうすると、生き残っている3人、マギー、アーサー、アニカの誰かが間違いなく誰か一人は殺害したことになるわけです。

ヨハン。許されないことをしてごめんなさい。私の手は血で汚れた。業火に値する罪よ。

アニカはヨハンへの手紙でこのように書いていました。

そうすると、アニカは誰かを何らかの理由で殺害してしまったのかもしれません。

マギーが戸棚の中から発見された時、怯え切った表情でナイフを構えていました。

アーサーも、マギーが自分を殺すために地下にやってきたと勘違いし、ヨハンに襲いかかってきました。

また、アニカが無線発信している装置の場所を、ヨハンが捜索して地下に降りて行った時、たぶんアニカだと思われる人物がチラッとだけ見えました。

そのアニカだと思われる人物の手には武器のようなものが握られていました。

ということは、生存者の3人とも、自分は殺されると思っていて、必死になって数週間に渡って逃げ続けていたわけですね。

一人が犯人なのか、それともパニックのような状況が起きて殺し合いのような状態になったのか、現時点での情報量ではまだ色んな可能性が考えられるわけです。

アーサーは、マギーが全員殺したと言っていましたが、それをそのまま額面通りに受け取るのはあまりにも単純すぎると感じます。

ただ、ニルスが死んだとき、アキが第一発見者としてパニック状態となって大声で助けを求めた際、マギーはいつの間にか表れて平然としていました。

ニルスが死んだとき

マギーが殺したかどうかは分かりませんが、ニルスが死ぬことは分かりきっていたかのような、そんな冷たい表情を見せていましたよね。


さて、他の人物についてはどうでしょうか?

まず、エリックは元軍人にも関わらず、統率力が全くない、どこか鈍い人物だという描かれ方をしていました。

ということは、誰かに利用されることはあれ、エリックが深い陰謀などがあって人を殺すなどということは考えにくいでしょう。

ヘザーも今のところ怪しさを感じる描写は皆無ですね。

エバも、家庭に問題があったという程度で、他に問題や陰謀を抱えているようにも見えません。

第二話で得体の知れない人物として描かれたのはラモンでしたね。

ラモンのスマホだけ唯一暗号化されており、開くことができませんでした。それも軍隊レベルの暗号化

ただの料理人がこんなことをするはずはないと誰もが思ったでしょう。

料理人ラモン

そして彼の本棚には、ヘーゲル、ニーチェ、ソクラテスなどの哲学書がズラッと揃っていました。

特にニーチェの『善悪の彼岸』という本がクローズアップされていました。

ニーチェの善悪の彼岸

この『善悪の彼岸』という本はニーチェの主著の一つですが、それまでの哲学や道徳を批判する、ある意味でとても挑発的な本なんですよね。

『社会をよくするためには、時には法を無視してでも、悪なる行為とみなされても、断固たる「力の意志」で社会秩序を変えていくべき。』

といったような内容を含んでいるんです。

だから多くの革命家に読まれた本ですし、ヒトラーが影響を受けたとも言われています。

『善悪の彼岸』をクローズアップしたということは、ラモンは革命家か、それに近い存在だということを示唆したかったのではないでしょうか。

あえてこの基地に、料理人の仮面を被って潜り込んだということは、アーサーとアニカの『二酸化炭素を食べる細菌の発見』という研究成果を盗み出したかったのかもしれませんね。

二酸化炭素を食べる細菌の発見

そしてその研究成果を使い、何らかの社会的な革命を起こしたい、と考えているのかもしれません。

もしそうであれば、人を殺すことくらい、何の躊躇もないでしょう。

ラモン一人が全員を殺したとは思えないのですが、今後も要注意人物だといえるでしょう。

そしてもう一人、アキですね。

アキについては、まだその背景が語れていません。

ただ、ヨハンがマギーに話すという形をとり、

「ここの人間は、表向きとは別の顔を持ってる場合がある。どこまで知ってる?アキのことを。」

と、アキという人間も怪しいということを匂わせていましたよね。

アキはアーサーの助手なので、アーサーとアニカの研究成果が社会に与える影響が本当のところはどれほどのものなのか、最も深く理解している人物でしょう。

とすると、やはり事件に深く関連してきそうですよね。

とりあえず、第二話を観た感想と考察は、この辺にしておきたいと思います。

まだまだ分からないことが多いですが、第三話ではさらに多くの謎が明かされ、真実に近づいてくるでしょうね。

第三話では、いよいよあの注目場面、アキとラモンが殴り合うシーンがあるようです。

アルバロ・モルテ(ラモン)と山下智久(アキ)が話し合いながら作っていったシーンですね。

バイオレンスなシーンを山下智久がどのように演じるのかも楽しみです。

『THE HEAD』第三話の感想と考察もまた書いてみたいと思います。

『THE HEAD』第三話の感想と考察

『THE HEAD』第三話

『THE HEAD』第三話の感想と考察を書いてみたいと思います。

第三話もスリル満点の展開でであっという間に見終わってしまいました。

まず、アーサーがクローズアップされます。

「生物学者が気候変動を解決へ」
「地球を救う」
「生物学で未来の問題を解決」

といった見出しが新聞や雑誌に掲載されていて、まさに「救世主」のようにメディアに扱われていました。

アーサー

それほど画期的な研究であったと強く視聴者に訴えかけるかのように。

そしてアーサーは、マギーがどれほど怪しい女なのかということを切々と語っていました。

「マギーは誰かの依頼で研究を盗みに来た。」

「あの虫は二酸化炭素を分解するんだ。普通の光合成の153倍のスピードでな。地球温暖化は一気に解決。現実だし数十億ドルの価値がある。それを盗むためにカネが動くというのは絶対あり得ないか?」

「彼女は突然現れた。私が指名したラーズは出発の数週間前、飲酒運転の車にはねられ、代わりに彼女が来た。彼女はまず私の助手に接近した。ラボに入れるのは彼とアニカと私だけだ。」

ヨハンに語るアーサー

でも、「殺す理由がない」とヨハンが反論すると、アーサーは、

「殺される直前のマイルズは何かを警戒していた。仕事柄、マギーの通信を盗み聞きして脅迫したんだろう。焦った彼女はマイルズを殺した。」

と見解を述べました。

アーサーの言葉をそのまま信じることができるのか、それはまだ分かりませんね。

ただ、アーサーが口にした言葉、「誰かの依頼で研究を盗みに来た」

誰かが研究を盗もうとして殺戮が始まった可能性は十分にありそうです。

では、その人物はいったい誰なのか?


第三話では、エバヘザーの二人の死んだ経緯が明らかになりました。

この二人の死に、エリックが深く関わっていました。

まず、エリックはエバと不倫関係にあったことが分かったのです。

ヨハンがスマホをチェックしてみると、エリックとエバがセックスをしている動画が見つかりました。

エリックとエバ

どうやらエバは不倫関係を終わらせたがっていたようですが、エリックがストーカーのようにエバを追いかけていたということのようです。

アルゼンチン基地まで雪上トラックで助けを求めに行くというアイデアが出た時、誰が行くのかで揉めた結果、くじ引きで決めるということになりました。

エリックは、どんどん人が死んでいく基地内に愛するエバを残したくなかったので、八百長をしてエバがアルゼンチン基地に向かうことになりました。

準備が整い、いざ出発という時、エンジンをかけた瞬間、雪上トラックが爆発してエバは焼死体となってしまったのです。

トラックが爆発

みんなで消火活動を行うわけですが、エリックは完全にパニック状態となり、銃を持ち出し、「動いたら全員殺す!」と叫び始めました。

アニカの説得により何とか落ち着きを取り戻したエリックから銃を奪おうと襲い掛かったラモンとそれに続いたアキ。

もつれた状態でエリックは銃を撃ってしまい、弾はマギーの腹部を貫通して、後ろにいたヘザーに当たって彼女は即死状態

エリック

錯乱状態に陥り、仲間同士で殺し合うという悲惨な状態になってしまった基地内。

これこそ犯人が望んだ展開だろうと感じた人も多いでしょう。


この時の状況を、マギーはヨハンにこのように語りました。

「エリックはエバを殺していない。あの時の顔でわかる。本気で救いたかったはず。基地から逃がそうとした。」

エリックの無能力さ、精神的不安定さ、などといったマイナス面が事ある毎に示されます。

そのことからエリックが深い陰謀を持って一連の殺人を主導することなど不可能なのは間違いないでしょう。

ただ、マギーはこのように意味深なことも言いました。

「エリックは銃が必要だと思ったみたい。何か起きると知ってた。ひどいことが。」

エリックは何を知っていたというのか。。

不倫関係にあったエリックとエバが不穏な雰囲気で言い争いをしている現場を見てしまったことがあるマギー。

エリックとエバ

その時、エリックが「ゴアヴァハンスィア」と言ったのを聞いたというのです。

「ゴアヴァハンスィア」の意味は、「彼(彼女)に従え」ということ。

どうやら、エリックは誰かの手先として使われてる可能性が出てきましたね。

そこにエバも巻き込んでいる、と。

誰かがエリックを手先として使うのは非常に合理的ですよね。

そこまで思慮深くなく、情緒も若干不安定、でも隊長なので皆に命令する立場である。

何らかの弱みに付け込んで、取り込まれてしまった可能性も十分にあるわけです。


では、いったい誰が本当の犯人なのか。

その前に、エバを殺した犯人は誰でしょうか?

トラックが爆発したということは、普通に考えるとトラックに燃料を入れた人物は怪しいですよね。

出発準備の際、燃料を運んできたのは、ラモンとアキでした。

そして実際にトラックに燃料を入れていたのはラモンでした。

ラモン

ただ、ラモンはその燃料に爆発を誘発する物質が入っているのを知らなかった可能性もありますよね。

犯人が事前に燃料をすり替えていた可能性だってあるわけです。

まだ決定的な証拠が出てきていないので、断定は難しいですよね。

アーサーが言っていた「誰かの依頼で研究を盗みに来た」説

もし犯人の動機がそうであるなら、マギー、アキ、ラモン、3人共にそれぞれに直接的、間接的に怪しく描かれています。

でも、やはり最後に大きなどんでん返しがありそうです。

まさかそんな理由が、、というような驚きのどんでん返しが。

とするならば、「誰かの依頼で研究を盗みに来た」説ではなく、もっと大きな陰謀があるように感じます。

アーサーとアニカが、その研究成果の使用方法を巡って対立している雰囲気は以前に少し描かれました。

アーサーが考えているようには、その研究成果を使用させたくないアニカ。

第三話でも、アニカとアーサーのこのようなやり取りがありました。

ニルスが殺された後、アニカは、

「一緒に行動を。犯人は私たちを分断したいのよ。」

と発言しました。

それにアーサーは反論しました。

「それは理性による発言じゃない。忠誠心だ。『誤った道徳心』とも言う。生き残るために必要なのは、『冷酷さ』『疑い』『不信感』だ。」
「文明社会に戻ったら人を信じるなり犬を愛するなり好きにしろ。だが今はよせ。生き延びないと。生きるか死ぬかだ。」

常に冷徹な発言を繰り返すアーサー。

今までの発言から判断すると、やはりアーサーは、研究成果を世界中の人々のためではなく、自分たちを含めた一部の西側の人々のために使い、それ以外の人々を切り捨てたいと考えているのではないでしょうか。

自分たちが生き残るためには、『冷酷さ』が必要なのだと。『誤った道徳心』は必要ないと。

そのような対立の構造の中、人が死んでいっているように思えてなりません。

また、ニルスの死体には、胸にナイフのようなもので切り刻まれた「V」の文字がありました。

「V」の文字

それについてアーサーが語っていました。

「ロシア人が『マスキロフカ』と呼ぶ方法。真の目的の偽装だ。」
「あまりの残酷さにみんな注目せざるを得ず、理論的に説明しようと考えすぎる挙げ句、事態の本質を見失う。それが狙いだ。血は最高のカムフラージュになる。」

これからもまだまだ「マスキロフカ」が続きそうです。

大いなる真の目的の偽装のために。

第四話では、その真の目的が少し見えてくることになるのではないでしょうか。

『THE HEAD』第四話の感想と考察

『THE HEAD』第四話

『THE HEAD』第四話の感想と考察を書いていきます。

第四話ではまた沢山の事が分かってきましたね。

色々とあるので、順を追って見ていきたいと思います。

まず、第三話でエリックにお腹を撃たれたマギー。

マギーの腹部手術をするところから第四話は始まりました。

マギーの腹部手術

みんなが尻込みする中、アキが勇気を持って手術役を買って出たんですね。
緊張感ほとばしる中、無事手術を成功させたアキ。

手術を成功させたアキ

アキの勇気冷静さをみんなが静かに称えていました。

この件もあってラモンとアキが和解しました。
「食堂ではすまなかった。」とラモンが謝罪したんですね。

大変な場面でも決して取り乱したりしない冷静沈着なアキですが、アキの違った一面も明らかにされました。

マギーに「信じていい?」と唐突に聞かれたアキ。
マギーが不審に感じていたのは、アキは心臓病でもないのに、抗精神病薬の副作用を和らげるという「ベータ遮断薬」を服用していたこと。

その点について、アキはマギーに説明するのです。

「アーサーの助手は誰より優秀でないといけない。」
「アンフェタミンを飲んで睡眠時間を削ったら、声が聞こえ始めた」

それほど追い込まれた精神状態でアキは勉強に打ち込んでいたわけです。

「最終試験で友達が卑怯なマネをした。」
「肋骨や鼻が折れるまで殴り続けた。許しを求めたが止めなかった。」

肋骨や鼻が折れ、血が流れているのに殴るのを止めなかった。

その理由をマギーに聞かれたアキは、

『自由』を感じたから。」

と答えるのです。

理由をマギーに聞かれたアキ

友達に常軌を逸した暴力を振るい続けたアキ。

そしてその徹底的な激しい暴力行為の間、今まで感じたこともないほどの『自由』を感じていたというのです。

自分がボコボコに殴り続けて血を流している友達を目の前に、強烈な快楽を感じていた。

そのようなアキの秘められた暴力性が明かされたのですね。

ここでアキの「秘められた暴力性」が語られたということは、残り2話でその暴力性が何らかの形で事件に関わってくるのは間違いないでしょう。

ただ、この時点で、ここまであからさまに、「切れたら何をするか分からない不気味な暴力性を秘めた人物」としてアキをクローズアップしておき、アキが主犯といことになるとそれはあまりにも単純すぎますよね。

なので、他の主犯の意図によって、アキの暴力性が利用されたのではないか。

簡単に言うと、アキが絶対に逆らえない存在に、マイルズやニルスを殺すように指示されたのではないか。

そんな風にも考えられますよね。

アキが絶対に逆らえない相手ということになると、やはりアーサーでしょう。

ただ、そのような流れで推理すると、分からない点も出てきます。

ニルスが殺された時、胸に「V」の文字がナイフのようなもので刻まれていました。

その「V」の文字について、これはアラビア数字で「5」の事だから、ポラリス5を意味している、とアキはマギーに話しました。

アラビア数字で「5」

自分がやったことを果たしてそのように言うだろうか、マギーをだましたかったか、この辺はまだよくわかりません。


第四話のポイントの一つ。

それは、アーサーとヨハンの会話の中にありました。

アーサーはこれまで、マギーが全員殺したと一貫して言い続けてきました。

でもヨハンと会話する中で、「疑う相手を間違えてた」と言い出したのです。

犯人はアニカだと軌道修正したのですね。

まだ具体的な証拠が示されたわけではありません。

しかし何度もアニカが『野望』を持っているという事を繰り返すのですね。

元凶は『野望』だ、と。

その『野望』を実現させるために、人を殺してもおかしくない、と考えているようです。


そして第四話で最大のポイント。

それは、サラ・ジャクソンにまつわる一連の出来事でした。

まず、第三話で基地の外で見つかった焼死体は、サラ・ジャクソンだったことが判明しました。

サラ・ジャクソン

サラ・ジャクソンとは、現在のポラリス6の前の基地、火事で焼けてしまったポラリス5で研究に参加していた科学者でした。

同じくポラリス5にも参加していた、アーサー、アニカ、ラモンなどと一緒に働いていたのです。

科学者であると同時に、2人の娘の母親であり、冒険家でもあるという。

ここで我々はハッと気づくわけですね。

マギーは冒険家の母親からポラリス6への研究に絶対に参加するように強く言われた、と語っていました。

そして死んでしまったニルスは、マギーの顔をじっと見つめながら、誰かにそっくりだ、と言っていました。

そう、マギーの母親がサラ・ジャクソンということなのでしょう。

サラ・ジャクソンはポラリス5の火事に巻き込まれてしまい、事故で亡くなったと言われていました。

でも、実際は違ったわけです。

後頭部は骨折していて、誰かに殺された可能性が高いわけです。

いったいサラ・ジャクソンは誰に殺されたのか?

サラ・ジャクソンを殺した犯人が、ポラリス6での大量殺害にも関わっていることは間違いないでしょう。


雪上車が使えないことが判明し、アルゼンチン基地へは行けなくなってしまいました。

「ポラリス5に行けば無線機がある」

アニカが代案を出しました。

その提案に、ポラリス5組のアーサー、ラモンの二人はすぐ賛成しました。

この場面は、二人が賛成するのがあまりにも早く、少し不自然な感じが残りましたよね。

どうしてもポラリス5へ行かなければならない理由がある、そのようにも感じ取れる場面でした。

アニカ、アーサー、ラモンの3人がポラリス5へ向かった事を、アキに知らされたマギーは絶対に自分も行くと言って一歩も引かず準備を始めます。

ポラリス5では、アニカ、アーサー、ラモンの挙動に不審な点が見られます。

アニカとアーサーがこっそり話している言葉がマギーの耳に入りました。

「スーツケースを探して」と言っているのを。

アニカとアーサー

マギーが一人でサラ・ジャクソンの遺体に近づくのを極度に警戒するアーサー。

その後、必死でスーツケースを捜していたアーサーだが、懐中電灯が切れてしまい見つけることができなかった。

マギーはこっそりアーサーの後をつけ、「サラ・ジャクソンに返却」と書かれたでスーツケースを発見するのです。

そのスーツケースの中には、血まみれのセーターが入っていたんですね。

血まみれのセーター

マギーは、母親(サラ・ジャクソン)が死んだ「本当の理由」を探るために南極まで来たのでしょう。

事故死ではなく殺されたのではないかという疑いをずっと抱いていたということなのかもしれません。

サラ・ジャクソンの死に、『二酸化炭素を食べる細菌(バクテリア)の発見』という研究成果が関わっているのは間違いなさそうです。

アニカはサラ・ジャクソンととても仲が良く、彼女をポラリス5に誘ったのも自分だと言っていました。

となると、普通に考えると、アニカ&サラ対アーサーという対立関係があったと想像します。

人類を救うことになるほどの壮大な研究成果の活用方法について、激しく対立したのかもしれません。

ただ、関係がそこまで良好ではないはずの二人、アニカとアーサーがこっそり話をしていたという点をどのように考えればよいのか。

アニカ&サラ対アーサーという単純な対立構造ではないのかもしれません。

例えば、途中でサラの裏切りに気付いたアーサーに殺されたのか?

アニカ、アーサー、ラモンの3人は、何か隠している事は確かでしょう。

でも、アニカがポラリス5で、みんな一緒に行動するのではなく、分かれて行動しようと提案した事に、ラモンが疑問を呈した点などを考えると、アニカ、そして彼女とコソコソ話していたアーサーは、他の人には見られたくないものを秘密裏に処理したいという考えがあったのは間違いなさそうです。

それは血まみれのセーターだけではなく、もっと重要なものがありそうです。

それが次回明らかにされることで、サラ・ジャクソンを殺した犯人の動機、アニカ、アーサーそれぞれの考え方などが明らかになりそうですね。

アニカがヨハンに書いた手紙がありました。

ヨハン。許されないことをしてごめんなさい。私の手は血で汚れた。業火に値する罪よ。

これが毎回登場しますよね。

アニカが怪しい存在であることをどんどんクローズアップするかのように。

アニカは、アーサーが言うように例え「野望」があろうと、大量殺人をするようにはどうしても思えないんですよね。

でも「私の手は血で汚れた。」という告白があることを考えると、誰か一人は殺してしまったのかもしれません。

例えば、他の人物を殺したアキを、最後に殺したということなのかもしれません。

今回も取り留めのない考察となってしまいました。

最後に、ラモンの言葉の意味を紹介しておきます。

ラモンの言葉

ポラリス5での作業途中にみんなで休憩している時の言葉。

ラモンはいきなり哲学的な話を始めました。

快楽主義者(エピキュリアン)は地の果ての楽園に住んだ。
苦しみを生む欲望から身を遠ざけるためだ。
俺の楽園は南極だが、死に場所にはしたくない。

エピクロスという古代ギリシアの哲学者の考え方について語っているのです。

そして続けて、

灰は灰に
塵は塵に
元いた場所に皆戻る

と、今度は旧約聖書の『創世記』からの引用です。

死ぬときは灰や塵に帰る、というように解釈されています。

元いた場所に皆戻る、というのは果たして何を意味しているのでしょうか。

「元いた場所」とは、ポラリス5のことなのか。

定かではありませんが、アニカは物凄い表情をしてこのラモンの話を聞いていたので、彼女はそのようにとらえたのかもしれません。

サラ・ジャクソンが殺された場所、ポラリス5。

元いた場所であるポラリス5に皆戻り、そしてそこで灰や塵に帰る、つまり、そこで死ぬということです。

「死に場所にはしたくない」けど、そこで死ぬのが運命なのかもしれない。そんなニュアンスに僕には聞こえました。

『THE HEAD』第五話の感想と考察

『THE HEAD』第五話

『THE HEAD』第五話の感想と考察を書いていきます。

今までだったことが、第五話でどんどん明らかになりました。

まず、第五話の冒頭で、重要な事実が明らかになりました。

以前、アニカに電話がかかってきた「ダミアンの死」についてです。

彼は飛び降り自殺をしていたのですね。

そして死ぬ前に、このような電話をかけていたのです。

ダミアンの死

「ポラリスに贈り物を残した。君が処分した気でいた物だ。」

「毎朝目覚めるたびにあれの存在を思い出せ。氷が解けたらあれが発見されてみんなが知る。」

「君がサラや我々に何をしたか。罪悪感を持たない君も恐怖心はあるはずだ。」

「苦しめ。」

どうやら、ダミアンは死ぬ直前にアーサーに電話をかけていたようです。

「贈り物」とは、マギーが発見した「血まみれのセーター」の事でしょう。

あの「血まみれのセーター」はアーサーのものであったことが後で判明します。

アーサーは、サラを殺した証拠隠滅のために、そのセーターを処分したのでしょうが、ダミアンがそれを見つけ出し、あのトランクに入れたということなんでしょうね。

アーサーの罪を世界中に知らしめるために。


第五話では、ラモンエリックが死にました。

まずラモン。

まだ生き残っている、マギーとアキを殺しにきたのは、何とラモンだったのですね。

逃げるマギーを追い詰め、「すまない」と言った後、マギーを殺そうとしました。

でも、マギーが仕掛けた罠にはまり、逆にマギーに殺されることになったのです。

マギー

後に、ラモンのスマホの謎が明かされます。

軍レベルのセキュリティがかけられていたというラモンのスマホには、アキが思わず「おぞましい」と呟くほどの性的な画像が詰め込まれていたのです。

ヨハンが画像を見て、「これを持ってるだけで刑務所行き」だと言っていました。

ラモンのスマホ

ということは、ラモンは小児性愛者だったのでしょう。

その性的欲求を満たすためにスマホに保存していた画像を、おそらくアーサーに知られ、弱みを握られ、脅迫されることになったと推測できます。

マギーを殺そうとした時、「すまない」と呟いたのは、自分はそんなことはしたくないのに、アーサーに脅迫され追い詰められ、どうしようもなくしているという事が伺えます。

アーサーに指示され、マイルズ、ニルス、エバをラモンが殺したのでしょう。

第四話でラモンが語っていた哲学的な話が思い出されます。

小児性愛者である「快楽主義者」の自分は、小児性愛という「苦しみを生む欲望から身を遠ざけるため」に南極に来た、ということだったのでしょう。


そしてもう一人、エリックも死んでしまいました。

エリックは、アーサーを銃で撃ち殺そうとして、逆に隙をつかれてアーサーに殺されたわけです。

マギーがラモンを殺した現場を見ていたエリック。

エリックに気付いたマギーは彼に詰め寄りました。

ずっと黙ってるエリックに「どうして何も言わないのよ!そのせいで人が死んでるのに!」と詰め寄るマギー。

それに対して「黙るしかなくて」と答えるエリック。

おそらく、エリックもラモン同様、アーサーに「エバとの不倫」をネタに脅迫されていたのでしょう。

エリックがマギーに、「ゴアヴァハンスィア(彼に従え)」と言っていたのが思い出されます。

その従う相手とは、アーサーの事だったのでしょう。

ただ、エリックはそのまま引き下がることはしなかったのです。

マギーに「エバが死んだのはあなたのせい」といったようなことを言われ、そのまま黙り続けるのではなく行動を起こすことを決めたのです。

アーサーを殺そうと、銃を持って追い回しているところに、マギーとアキが駆けつけます。

止めようとするマギーに、エリックは言ったのです。

「彼が遺体に何をしたと思う?8年前にこうすべきだった。」

「君らは知らないんだ。こいつの口車に乗ると一生後悔することになる。」

エリックもラモンも、アーサーに人生を狂わされ、一生後悔することになったのでしょう。


完全に「T3症候群」の症状が出ているアニカは果たしてどうなるのか?

第五話の最後、マギーがアニカに聞くのです。

「アニカ、サラに何があったの?」

ここで第五話は終了です。

いよいよ全てが明らかになる最終話。

アキを追いかけるアーサー。

アキとアーサーの対決も見物です。

一週間が待ち遠しいですよね。

『THE HEAD』第六話(最終回)の感想と考察

『THE HEAD』第六話

『THE HEAD』第六話(最終回)の感想と考察を書きたいと思います。

『THE HEAD』、とうとう終わってしまいましたね。。寂しいです。

そして、マギーが犯人だったんですね。

僕はマギーが、母親の本当の死因を探るために南極にまでやってきたと思っていました。

でもそうじゃなかったんですね。

マギーはダミアンが自殺する前に実際に会っていて、母親が何で死んだのかを告白されていたわけです。

マギー

母親を殺したアーサー、そしてそれを隠蔽しようとしたアニカ含めた他のメンバー、その全員に復讐するため、南極までやってきたということだったのです。

母親の無念を晴らすため、全員を恐怖のどん底に叩き落す事を目的に、残忍な方法で次々と殺害していったのですね。

エリックはアーサーが殺したということで間違いないのでしょう。

ヘザーはエリックが誤射したことも事実なんでしょう。

マギーの目線から、事実とは異なる映像が視聴者に色々と提供されていたので、事実か虚偽かの判断が難しいですよね(笑)

その他の全員をマギーが復讐のために殺害したということが最後に明かされた事実でした。

T3の症状も仮病であったことが最後に示されました。

T3の症状

全て事前に入念に計画した完全犯罪であったわけです。


僕は当初から、「二酸化炭素を食べる細菌の発見」という世紀の研究に纏わる、大きな陰謀が背後にはあるんじゃないかと書いてきました。

でも実際はそんなものは関係なかったわけです。

ただアーサーがサラとやりたかっただけで(笑)、強引に迫ったところで断られ、もつれた状態で殺してしまった、そんな下衆な話だったわけです。

アーサー サラ

「地球の救世主」のようにメディアに取り上げられていたアーサーという人物は、自分の名誉や欲望のために、部下の女性たちを道具のように扱うただのクソ野郎だったという事実が判明しただけだったのです。

そこに、アニカの長年抑圧されてきた鬱憤なども爆発し、あのような悲劇へと繋がっていったのですね。

サラが殺害された事実を隠蔽することを、みんなに説得していったアニカ。

アニカ

アニカは自分の「野心」は認めつつ、サラの為にも、世界全体の為にも、そうすることが「正義」だと疑わなかったわけです。

その「正義」を貫徹させるため、サラの死の隠蔽は「必要なこと」だと考えたわけです。

他のメンバーは全員、そのようには思わなかった。

それは決して「正義」ではない。

ニルスとエリックの言葉が印象的でした。

ニルス「君を尊敬し理解もしているが、言っていることは異常だ。」

エリック「殺人の隠蔽のどこが正しいんだ。」

さて、「正義」とはいったい何なのでしょうね。

身近な仲間一人の命が優先されるべきか、世界中の人たちの命が優先されるべきか、哲学の問答のような話し合いが続いていました。

哲学の問答

誰に何を言われようとも、絶対に信念を曲げず、サラの死を隠蔽するため、ポラリス5を燃やすことに全員合意させたアニカ。

その過程では、異様なまでの、常軌を逸したような、アニカの執念が描かれていました。

下衆の極みのようなアーサーと、各人の弱みに徹底的につけ込んだ冷徹なアニカ。

ポラリス6でも中心的存在である二人は、ポラリス5からの継続メンバーに思いっきり軽蔑されていたはずです。

でも、そんな軽蔑すべき、絶対に一緒には居たくない人間が中心にいるポラリス6に、ポラリス5のエリック、マイルズ、ニルス、ラモン、エバの5人は舞い戻ったわけです。

それぞれに事情を抱えていて、僻地に舞い戻らざるを得なかったわけですね。

絶対に居たくない場所にいるしかない、各人共にそんな悲しみに満ちていました。


一点、分からないのは、ラモンがマギーを殺そうとしたことです。

「すまない」と言いながら。

これは誰の意志による行為なのか。

何か見落としているのかもしれませんが、よくわかりませんでした。


そして最も痛ましかったシーンは、やはりマギーがアキを刺し殺してしまう場面でした。

アニカを殺害する目的で、雪上車の燃料ホースに穴を開けている場面をアキに見られてしまったマギー。

まさか恋人が殺人犯であった事が信じられず、涙を浮かべながら、戸惑うアキ

マギーも涙を流しながら、そして「ごめんなさい」と謝りながら、アキの腹部にナイフを突き刺したのです。

ナイフを突き刺した

アキは苦しそうな表情を浮かべながら決して抵抗しなかったのです。

自分が息絶えるという極限状態でも、殺人犯である恋人のことを傷つけようとはしなかったのですね。

極限状態

アキの菩薩のような深い愛情が、死の直前、殺人鬼と化していたマギーを包み込んだのでした。

母親を殺された恨みから、マギーは殺人鬼と化し、完全に人間的な感情を失ったかのようでした。

でも、アキを刺し殺した時、喪失されていた人間的感情が、一気に溢れ出したようにも見えました。

それは本当に悲しく、で同時にも美しさも感じる稀有な瞬間でした。


ヘリコプターの中

最後、マギーが南極を去る時、ヘリコプターの中でアキが登場します。

マギーの想像の中でのアキです。

アキがマギーにこのように語りかけました。

「オリヴィア・ジャクソン。いい名前だ。でもマギーの方が好きだな。」
「アニカに聞いたよね。迷いがあったか。君はどうだった?」
「あの時、後悔した?」

その問いかけに、マギーは何も答えませんでした。

ホッとしたような、優しい笑みを浮かべているようにも見えました。

最初は計画を実行するという目的の為に、アキに近づいたのでしょう。

でも、共に時間を過ごす中で、アキにどんどん惹かれていき、愛していたのは事実なのでしょう。

その愛する人を殺さなければならなかった。

非常に辛いことではあったけど、たぶんマギーは後悔はしていないのでしょう。

マギーは後悔はしていない

母親の復讐を姉妹で誓い合って、その目的の為には、全ての犠牲を厭わず、自分の全てを捧げてきた。

人間的な感情は捨て去り、復讐のために、冷徹に人を殺し続けた。

そしてアキをも殺すことになってしまった。

『最も冷たい真実』

この何とも形容しがたい、冷徹な真実を前にして、観る者の心も沈み込んでしまいます。

でも、マギーの想像の中とはいえ、アキの全てを抱擁するような温かい表情が、唯一の救いをもたらしてくれました。

『THE HEAD』、素晴らしい作品でしたね。

毎週、作品を観て、そして感想を書くのがとても楽しかったです。

また改めて総括も書いてみたいと思います。

ありがとうございました。

Huleで『THE HEAD』を観る

  • コメント: 2

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  1. 山下智久が『THE HEAD』で世界中の俳優から認められた理由

    • hurai

    THE HEAD 完結してしまい寂しく思っていたので、楽しく読ませていただきました。
    私は、アニカもおそらくアーサーに性的関係を迫られて受け入れていたのかなと思います。前職での経緯を考えると、アーサーを拒絶して今のポジションを失いたくなかった。嫌な考え方ですが、友人であるサラを自分の身代わりに差し出すつもりで誘ったとも考えられます。
    ポラリスⅥでの隠蔽工作が上手くいったなら、本当に愛するヨハンと子供を設けて幸せになるつもりだったのでしょう。多くの人を陥れて自分だけが逃げ切るなんて事は不可能だった…という結末ですね。
    同じ事は、マギーにも言えます。ヨハンが「良き人生を」と言うのがひどい皮肉に思えます。復讐という
    目的を達成した後のマギーに、決して幸せや赦しは訪れない。静かなアキの姿は、マギーが自分自身に問いかけているのですよね。
    切なく哀しく何も報われない。でも、どうしようもなく人間らしい物語でした。

    • dougasfriends

    huraiさん

    コメントありがとうございます。

    なるほど。。確かにそうですね。

    深く的確な考察で、目から鱗が落ちる思いです!

    huraiさんのおかげで更に『THE HEAD』を深く味わうことができました。

    切なくやりきれない思いが募りますが、そのような余韻が長く残るという事は、素晴らしい作品である証ですよね。

    本当に素晴らしいコメントをありがとうございました!

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